小売業界全体にインパクトを与える。イオンのデータ分析が拓く大きな可能性
イオン株式会社 データイノベーションセンター
データアナリスト 2022年入社
ピーケンブロック 巴奈
SIerから事業会社へ。より強まった当事者意識とデータ分析の価値
私が所属するデータイノベーションセンター(DIC)は、2021年3月に発足した新組織です。イオングループで収集したあらゆるデータに最先端の機械学習を組み合わせ、よりデータドリブンな企業へと導くために、さまざまな取り組みを行うR&Dの役割を担っています。多彩な業界でデータサイエンスの経験を積んできた中途入社者が集まっており、私もそのうちの一人。前職では大手SIerで医薬品業界のお客さま向けのデータ分析を担当し、イオンは2社目です。
転職を決めた理由は、大きく二つ。まず一点目は、より人々の暮らしに身近なデータを扱えることです。スーパーやショッピングモールのPOSデータはもちろん、銀行やクレジットカードなど金融領域のデータベースにいたるまで、グループ全体で得られる幅広いデータを、さまざまなアイデアのもとで多面的に分析できる環境に強く惹かれました。
二点目は、「自組織をより活性化させるために」という観点で何ができるのか、より上流の立場からデータサイエンスに取り組んでみたいと思ったことです。 「自組織の利益最大化」と「お客さまの満足度向上」の両立という目標を達成するために、データが貢献できることの多さを改めて感じることができました。また、外部パートナーとしてお客さまの課題と向き合っていた前職と比べると、より当事者意識を持って 取り組めるようになったのは嬉しい変化でした。
今できることの積み重ねが、データドリブンな組織文化を創る
現在担当しているプロジェクトのなかで、特に実用化が近いものの一つに、小売領域における商品の需要予測があります。具体的には、POSデータを基に需要予測モデルを組み、各店舗がより効率的な在庫管理を実現できるシステム構築を進めています。既存システムの精度に課題があった中で、DICで新しいモデリングを行った結果、PoCフェーズながらビールの需要予測が36%改善したという成果が得られました。
一方で、今後組織全体で取り組むべき課題もあります。DICではグループ各社の経営者層に分析結果を発表する機会が多いこともあり、上層部のDXへの意識は高いのですが、各現場レベルにはその意識がまだ浸透しきっていないように感じます。データ基盤の面でも各社独自のマスターデータが点在していて、グループ内全てのデータを自在に取り出せる状態までには至っていません。DICはグループ共通の新しいプラットフォーム構築を進めていますが、統合には各事業会社との協業が必要です。
事業会社からの理解を得るためには、まずはDICの取り組みを広く知っていただくことが大切だと思っています。先日イオングループ内のイベントで、具体的な数字を絡めたデータ分析の成功事例を発信したところ、多くの会社が興味を示してくれました。先ほどの需要予測モデルのような成果を着実に積み上げることで、DICの認知度アップに加えて、組織全体のデータ活用への意識も高められると手応えを感じました。
イオンの進化は、日本の産業全体にインパクトを与えられる
イオングループの本社は海浜幕張にありますが、実は本社オフィスへの出勤は多くありません。現在DICの拠点は東京駅エリアのWeWorkにあり、ワークスタイルは個人に裁量が委ねられています 。周りの先輩たちも本当に優秀な方ばかりで、自分の担当プロジェクトでなくても、気軽にアドバイスをくれるなど「チーム一丸でイオンのDXを進めていこう」という雰囲気があります。また、DICの責任者はイオン本体のCDOも兼務しているので、私たちの意見や成果が経営層までダイレクトに届くと感じられる点もやりがいにつながっています。
小売領域では日本有数の存在といえるイオングループが持つデータには非常に大きな価値があり、どう活用するか、そしてどうお客さまに還元するかは、私たちDICにかかっています。もし今後、イオン全体でさらなるデジタル化が進めば、小売業界全体、ひいては日本における他の産業でも同じような機運を生み出せるはずです。私たちの仕事は本当に大きなインパクトを残せる可能性を秘めていて、DICで描ける未来にわくわくしています。
※掲載記事の内容は、取材当時のものです。
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