PROJECT 02老朽化した店舗を再生せよ。
お客さまと従業員に価値をもたらす
店舗の建て替えプロジェクト。

開店から約40年が経過し、建物の老朽化や売上の低迷が課題となっていた「マックスバリュエクスプレス幕張店」。その建て替えプロジェクトが2019年から約4年の歳月をかけて完了し、店舗は今「買物体験型スーパーマーケット」としてお客さまや従業員に新たな価値を提供している。本プロジェクトに当初から携わり、土地・建物のオーナー様との交渉や店舗の投資予算管理、建設工事のスケジュール管理などさまざまな折衝・調整を重ね、建て替えを実現させた経営管理部・開発グループの野村に話を聞いた。

マックスバリュ関東株式会社
経営管理部・開発グループ
野村 和樹

大学卒業後、旅行会社での約4年間の勤務の後、スーパーマーケット業界へ転職。マックスバリュ関東入社後は、経営管理部・開発グループにて、開発・不動産およびテナント管理業務に10年以上携わり、新店の開発や既存店の管理、テナントの誘致、店舗の建築・設計・設備に係る打ち合わせなど幅広い業務を担っている。

01老朽化した店舗の建て替えを
目指してオーナー様と交渉。
タフな場面も乗り越え、
1年越しの合意へ。

建物や店舗設備が老朽化していた「マックスバリュエクスプレス幕張店」。営業を継続するためには、増改築による限定的な設備投資ではなく、建て替えをして店舗の価値向上と運営の効率化を進める必要がありました。同店の土地や建物は、オーナー様からお借りしているものです。そこで、建て替えた場合と増改築した場合の収益メリットを算出した上でオーナー様にプランをご提案。そこから協議が始まりました。

店舗の建て替えは長期的かつ安定的な賃料収入につながるため、オーナー様も当初から計画自体には好意的でした。しかし当然、私たちの要求が一方的に通ることはありません。条件の合意には時間がかかることが予測されましたが、オーナー様と同じ経営視点に立ちメリットを分かりやすくご説明すれば必ず合意できる、という思いで臨みました。これまでの約40年で築いてきた信用を崩すことのないように、本音で話し合える雰囲気づくりと関係構築に努め、オーナー様の考えを推察しながら慎重に交渉。具体的な建築計画の提案、他の事業者との協業の有無、さまざまなプランを事業収支計画とともに検討を重ねました。約1年を要するタフな協議が続きましたが、誠意を込めてご提案を続けた結果、私たちが提出したプランに納得いただき、合意に達することができました。

02協力会社には駆け引きよりも
誠実さを大切に、知恵を総動員して
一つひとつの課題を丁寧にクリア。

建築段階では、精査を進めるうちに見込んでいた投資予定額を超過することが判明しました。建築コストの高騰が予想を上回り、地盤強化に伴う想定外の工事なども発生したためです。加えて、新店舗を建築する際には営業部も商品部も「もっとお客さまに喜んでいただきたい」と考えるため、従来の店舗とは異なる新たな取組に挑戦したくなるものです。例えば、イートインスペースでのジェラートの提供など、当初はなかった計画が追加されたことでコストが膨らみました。さらに、着工後には想定外のトラブルも数々発生。店舗の価値を高める計画は維持しながらも、コストの削減や工期の短縮を実現すべく、仕様変更など協力会社との細かな調整に奔走しました。

店舗の建築でも店舗の運営でも、物事が予定通りに進むことは滅多にありません。また、発生したトラブルが一気に解決するような、ドラスティックな策が生まれることもほとんどありません。大切なのは、駆け引きでうまくやり通すことより、相手と迅速に連絡を取り、正確かつ丁寧に事実を説明すること。その上で、どうすれば工期を短縮できるか、同じ目線に立ってお互いの要求をすり合わせます。知識を総動員しながら一つひとつ調整を進めた結果、大きく工期が遅れることなく、店舗のリニューアルオープンを迎えることができました。

03顧客満足度や売上の向上に
とどまらない。
従業員の誇りにもつながる
大規模投資の意義。

リニューアルを経た今、幕張店は「買物体験型スーパーマーケット」というコンセプトの通り、明るく活気あふれる売場づくりや生鮮食品の品揃え強化、くつろげる空間づくりなどによって、お客さまが滞在時間そのものを楽しめる店舗に生まれ変わりました。また、インターネットから注文すると最短30分でご自宅に商品をお届けするという新たなサービスもスタートしています。提供価値が高まったことで、建て替え前からのお客さまだけでなく、エリアも年齢層もより広範囲のお客さまにご来店いただけるようになりました。

同時にこの建て替えは、店舗で働く従業員の皆さんにとっても価値をもたらしたと考えています。初めて店舗に入った瞬間の目の輝きや、「働きやすくなった」「便利になった」という喜びの言葉は今も印象に残っています。しかしそれは単に、建物が新しくなり作業効率が上がったという変化にとどまりません。店舗に大規模な投資をするということは、新しい価値を提供していくという意思表示でもあります。それを皆さんが感じ取ってくださり、これからも長く店舗で働き続けられるという安心感や働くことへの誇り、お客さまに対する前向きな姿勢につながっているのです。従業員の皆さんの満足は、店舗の建て替えや改装に携わる私たちの使命の一つでもあると思います。

04一つひとつのプロジェクトから学びを得ながら
新たな取り組みに常に挑戦しつづける。

4年にわたるプロジェクトを終えて私が学んだことは、事前準備の大切さです。合意形成やスケジュール管理の面では、不測の事態も多々発生しました。特にオーナー様との交渉では、お互いに譲歩する場面もありますが、同時に「この線からは決して譲らない」という強い意志も感じられました。なんといっても相手は資産家であり、交渉の経験も見識も豊富な方です。妥協をしない姿勢から交渉術を学ぶと同時に、私も交渉のプロセスを事前に想定し、提案する選択肢を自ら考え、社内でコンセンサスを得た上で臨む姿勢が大切だと実感しました。

こうした経験ができたのも、失敗を恐れずチャレンジをすることに対して前向きな社風があるからです。イオングループの中でもマックスバリュ関東の組織はフラットで意思決定がスピーディー。また、グループ間の壁がないため、連携し合うことで得られる圧倒的な情報力も強みです。待っていては何も始まりませんが、こちらから働きかければ必ず応えてくれ、「やってみなさい」と背中を押してくれる環境があります。

今後も、新店舗の出店や既存店の建て替えを継続的に行っていきます。今回幕張店で実現したコンセプトをさらに昇華させ、同時に毎回新たな取り組みにも挑戦し、お客さまと従業員の皆さんにとって価値ある店舗を作っていきたいと考えています。